公開日:2020.01.12 最終更新日:2024.09.24

離婚の話し合いをする前に準備しておきたいこと

夫婦が話し合い、お互いに合意を得ることで離婚する協議離婚は、日本国内で最も多い離婚方法です。しかし、話し合いで決めるべき内容を曖昧にしたまま離婚すると、後にトラブルにつながることも多いため、話し合いの前にしっかり準備しておくことが大切です。

ここでは、夫婦で離婚の話し合いをする前にしておくべき準備について解説します。

1.離婚の話し合いをする前にしておくべき準備

離婚についての話し合いは、事前に入念な準備をしてから臨みましょう。離婚したい気持ちが先行してしまい十分な準備をしないまま話し合いをすると、決めるべき内容の漏れや、離婚する際の条件が不利になることがあります。

離婚の話し合いをする前に準備しておきたいことは、大きく分けて「夫婦のこと」、「子どものこと」の2つです。どちらも事前に準備しておくと話し合いをスムーズに行うことができるので、確認しておきましょう。

(1)夫婦ついての話し合い

離婚の話し合いをする前に、まず準備しておきたいのは、夫婦に関係することです。離婚の際、夫婦に関係する内容は下記の3つです。

  • 離婚原因
  • 慰謝料の金額
  • 財産分与の金額

夫婦に関することで、離婚が成立するまでに話し合っておくべき内容は、結論がでるまでに時間がかかるものが多いです。そのため、事前に準備をしておくことで、離婚までスムーズに進めることができます。

■離婚原因に関する証拠を集める
離婚するきっかけになった原因がはっきりしている場合は、原因を証明するための証拠を集めておきましょう。例えば、離婚の原因が配偶者の不貞行為であれば、不貞行為を証明する写真やメールの履歴などになり、DVが原因であれば、傷跡が写っている画像、DVの状況を書いたメモや日記などが証拠になります。

離婚の話し合いをするときに、離婚原因を証明するための十分な証拠があれば、配偶者を説得しやすくなります。

■慰謝料
離婚の原因が精神的や肉体的な苦痛を伴っていた場合、離婚するときに配偶者へ慰謝料を請求できます。慰謝料の金額は状況によって異なるため、事前に弁護士に相談して目安となる金額を算出しておきましょう。

慰謝料を決めるための話し合いの際、離婚原因についての証拠を準備しておけば、相手が証拠隠滅を図ることや言い逃れすることができないため、交渉を有利に進めることができます。

■財産分与
夫婦が婚姻中に築いた財産は、夫婦の共有財産となるため、離婚が成立したときに財産を夫婦で分け合うための財産分与が行われます。財産分与の割合は、一般的には夫婦で折半です。

財産分与の対象となる財産は、下記のものが該当します。

  • 現金・預貯金
  • 不動産(土地、建物)
  • 有価証券
  • 自動車
  • 生命保険
  • 家具・家電
  • 貴金属・美術品

離婚の話し合いをする前に配偶者の財産を把握しておかないと、離婚を切り出した際に財産を隠されてしまい、財産分与の取り分が減ってしまうことがあります。そのため、配偶者にどのような財産があるのかを事前に把握しておきましょう。

(2)子どもについての話し合い

子どもを持つ夫婦が離婚する場合、夫婦のことだけでなく、子どものことについても話し合いをして、決めなければいけないことがあります。

子どもを持つ夫婦が離婚する際に、話し合う内容には下記の3つがあります。

  • 親権
  • 面会交流権
  • 養育費

離婚の際に行われる子どもに関する話し合いは、結果次第で子どもの人生を大きく左右してしまうため、曖昧にせずしっかり準備をして条件を決めることが大切です。

■親権
子どもを持つ夫婦は、子どもの親権者を決めてからでなければ離婚は成立しません。子どもが複数人いる場合には、それぞれに親権者を決める必要があります。
子どもの親権者は、母親が優利になりがちですが、児童虐待の疑いや、離婚後の収入が不安定で生活が困窮する確率が高い場合は、父親が親権者になることもあります。

そのため、子どもの親権者が配偶者になることによって、子どもの成長に悪影響を与えるおそれがあるときは、離婚の話し合いの前に、悪影響を与える原因となりそうな証拠を集めておきましょう。

子どもの親権については、「離婚するときの子どもの親権はどうやったら取れるのか?」のコラムをご参考ください。

■面会交流権
離婚が成立した後、子どもは親権を持つ親と同じ住居で生活することが多いです。そのため、親権を持たない親には、定期的に子どもと交流するための面会交流権という権利が与えられます。面会交流権では、回数や日時、場所などの取り決めをしますが、離婚の話し合いの際に慌てないように事前に決めておくと安心です。

■養育費
夫婦の離婚が成立した後、子どもの親権を持つ親は親権を持たない親へ、子どもの養育費を請求できます。自分が子供の親権を持つ親になった場合、養育費は多くもらえる方がいいですが、根拠のない金額では相手の同意を得るのは難しいです。養育費は、夫婦の年収などから適正な金額を算出することができるので、事前に弁護士に相談しておき、養育費の適正な金額と算出した根拠を話せるように準備しておきましょう。

2.離婚の話し合いの注意点

離婚についての話し合いをする目的は、「配偶者から離婚の合意を得ること」、そして「離婚した際の条件を決めること」です。相手を言い負かすことでも、責めることでもないので、なるべく感情的にならずに、夫婦2人で話し合いをするように心がけましょう。また、話し合いの中で決まった条件は、水掛け論にならないように証拠として残しておくことも大切です。

(1)夫婦以外の人を協議に参加させない

離婚についての話し合いをする際、最初から夫婦以外の第三者が同席するのは避けた方がよいでしょう。たとえば、離婚についての話し合いに夫婦の両親も参加した場合、両親同士が感情的になってしまったり、離婚をやめさせようとしたりして、話し合いが進まない場合があります。

まずは夫婦で話し合い、上手くいかなかった場合に、中立の立場で話し合いに参加できる第三者の同席を検討しましょう。

(2)話し合いの内容は書面に残しておく

離婚について夫婦で話し合いをした内容は、書面に残しておきましょう。話し合いの中でメモを取るのが難しければ、ボイスレコーダーなどで録音しておき、後で書面にすることもできます。離婚条件が記載された用紙は、離婚協議書として双方で1部ずつ保管しておくことで、離婚後にトラブルが起きた際の証拠として利用できます。

■離婚協議書は公正証書にしておく
離婚の話し合いの中で作成した離婚協議書は、公正証書にしておきましょう。公正証書とは、公証役場で作成できる公文書のことです。離婚協議書だけでも、契約書としての法的効力がありますが、公正証書にすることで、慰謝料や養育費の支払いに関して強制執行に関する条件をつけられます。

そのため、離婚後に慰謝料や養育費の支払いが滞ったときには、法的裁判を起こすことなく、給料や預貯金の差し押さえなどの強制執行をして回収できます。

3.まとめ

離婚の話し合いをするために、何から準備をすればいいのか分からない人は、まずは弁護士の無料相談を利用してみましょう。

新小岩法律事務所では、予約により平日20:00開始の無料相談も行っております。当事務所は新小岩駅南口徒歩1分の場所にありますので、小岩、新小岩、平井、亀戸、錦糸町など、総武線沿線の地域にお住まいの方は、仕事帰りにぜひご活用ください。当事務所では、上記の地域だけでなく市川、船橋や松戸の方からもご相談をいただいております。

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