公開日:2020.04.19 | 最終更新日:2024.09.24
離婚条件を有利にするには事前の準備が大切
夫婦が離婚するときは、慰謝料や子供の親権、養育費など条件を決めることがあります。配偶者と早く離婚をしたいと思っても、しっかりと条件を決めておきましょう。有利な条件で離婚を成立できれば、その後の生活が立て直しやすくなるからです。
少しでも有利な条件で離婚を成立するには、事前の準備が大切です。では、どのような準備をしておけばよいのでしょうか。ここでは離婚するときに良い条件で離婚するための方法を紹介します。
1.事前の準備
離婚を有利な条件で成立させるには、事前の準備がなにより大切です。配偶者に離婚の話を切り出す前に、交渉に必要な準備をしておけば、相手の情やペースに流されることなく離婚条件を決めていけるからです。一方、何の準備もせずに、配偶者に離婚の話しを切り出してしまえば、話し合いの末に離婚条件を妥協してしまい、離婚後の生活に困窮するおそれがあります。そのため、配偶者に離婚の話を切り出すときは、離婚条件の交渉を有利に進めるため、事前にできる限りの準備をしておきましょう。
(1)証拠を集めておく
配偶者に離婚の話を切り出す前には、離婚条件を有利にするための証拠を集めておきましょう。証拠が揃っていれば、提示する離婚条件が適切であることを配偶者に主張しやすくなるからです。また、証拠が揃っていれば、話し合いの際、配偶者が反論しにくくなるため、提示した離婚条件で合意を得られる可能性も高くなります。
離婚を有利な条件で成立させるには、条件ごとに必要な証拠が異なるので確認しておきましょう。
請求できる権利 | 証拠になるもの |
---|---|
慰謝料 | ・データ(画像・動画・音声) |
・通話履歴やメールのやり取り | |
・医師の診断書 | |
・興信所などの報告書 | |
親権 | ・育児実績のメモ |
・子供の意思 | |
財産分与 | ・配偶者の預金通帳 |
・証券会社の口座 | |
・生命保険の証券 |
離婚条件の話し合いで使う証拠は、多ければ多い程良いですが、事実であることが重要です。推測や想像では証拠として認められないので注意しましょう。
(2)配偶者に請求する金額の相場を把握しておく
配偶者に養育費や慰謝料を請求する人は、事前に金額の相場を確認しておきましょう。相場をわかっていないと、離婚条件の話し合いで、適切な妥協点を決められないおそれがあるからです。離婚の原因が配偶者にある場合、離婚条件の話し合いの中で、慰謝料や養育費の金額を下げてくるように交渉してきます。
相手の情に流されたり、離婚を急いだりするあまり、相手への請求を相場よりも安い金額で決めてしまうことがあります。そうすると、離婚した後の生活資金が不足してしまい、生活が困窮する恐れがあります。
しかし、請求金額の相場を知っておけば、配偶者との話し合いの際、どこまで妥協できるのか判断ができるので、冷静に交渉ができます。
そのため、配偶者に養育費や慰謝料を請求する場合、離婚の話を切り出す前に、配偶者にどれくらいの金額が請求できるのかを把握しておきましょう。
(3)財産分与するときには配偶者の財産を把握しておく
配偶者に離婚の話を切り出す前に、配偶者が所有している財産を把握しておきましょう。なぜなら、離婚時に正確な財産分与をするために必要だからです。財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を離婚するときに分与する制度です。
夫婦が婚姻中に築いた預貯金や、購入したマイホームなどは、共有財産になるため、離婚時にはお互いに分与されます。しかし、財産分与されるのは、把握できるものだけです。配偶者が隠し財産をもっていても、それがわからなければ、財産分与されることはありません。
そのため、事前に配偶者の財産を把握せずに配偶者に離婚の話を切り出すと、財産を隠されてしまうおそれがあります。ですから、事前に配偶者の財産を把握しておくことで、適切な条件で財産分与ができるのです。
また、財産分与の按分は、基本的に2分の1ですが、貢献度によって比率がかわることがあります。婚姻中の財産のほとんどを自分が作った、という場合には、そのことが主張できる証拠があれば、より多くの財産がもらえる可能性があります。
(4)親権をもらうための準備
離婚するときに子供の親権者になるためには、離婚後に子供を育てられる環境があることを説明するための準備しておきましょう。たとえば、収入の無い専業主婦であっても、離婚後に両親の住む実家に戻り、両親の援助が受けられるという準備をしておけば、婚姻中に収入が無くても子供の親権者になれる可能性が充分にあります。
子供がいる夫婦が離婚する際、子供の親権者を必ず決める必要がありますが、9割近くが母親になると言われています。しかし、父親であっても、子供の育児を行ってきた記録を残しておくことや、子供の年齢によっては意思を尊重されるため、父親と一緒に生活したいと言えば、親権者になれる可能性があります。
2.離婚条件は公正証書にしておく
離婚条件は、公正証書にして残しておきましょう。公正証書とは、公証役場で作ることができる公文書です。離婚条件を公正証書にしておくことで、離婚後に配偶者が条件に反した行為をした場合、強制執行を行うことができます。
たとえば、離婚時に毎月6万円の養育費を支払うという条件を決めていたのに、支払いが滞った場合、条件を公正証書にしておけば相手の給料を差し押さえて回収することができます。
厚生労働省が発表している「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」の調査データによると、1,817の母子世帯のうち、離婚した父親から現在も養育費を受けていると答えたのは、442世帯と、全体の約24%でした。約75%の母子世帯が、最初から養育費をもらっていないか、途中でもらえなくなってしまったのです。離婚するときに、養育費についてせっかく有利な条件を決めたのに、約束が守られなかったら、意味がなくなってしまいます。
そのため、離婚条件で決めた内容は、なるべく公正証書にしておくことをおすすめします。公正証書の作成方法に自信のない人は、弁護士に相談しましょう。
なお、公正証書が必要になるのは、夫婦の話し合いで決める協議離婚だけです。離婚調停では、「調停調書」、離婚裁判を行った場合には「判決書」が作成されるため、配偶者が離婚条件を守らなかった場合、公正証書と同じように強制執行を行うことができます。
3.弁護士に相談する
離婚条件を有利にするための、証拠集めや請求金額の相場などは、法律の知識がないと分からないことが多いです。そのため、離婚条件を有利に進めるための準備を進めるには、事前に弁護士に相談しましょう。弁護士に相談することで、条件が有利になる証拠や、その人に合った請求金額の相場などのアドバイスを受けられます。
また、弁護士に依頼することで調停や裁判になった場合でも、当事者に代わって有利な条件になるように交渉をすすめてくれます。弁護士費用がいくらかかるのか分からないという人は、無料相談を利用してみましょう。
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