公開日:2020.07.01 | 最終更新日:2024.09.24
交通事故の示談を弁護士に依頼しても交渉が進まない原因
交通事故の示談交渉は、弁護士に依頼することで、被害者の代理人として加害者側と交渉し示談を成立させます。ただし、初めて弁護士に依頼した人は、依頼後に弁護士からの連絡がなく、「示談がいつ成立するのか」、「本当に示談が成立するのか」など不安に思うこともあるでしょう。
交通事故の示談交渉は、円滑に進めても数か月から1年近く時間がかかることがありますが、事故状況など様々な原因によって交渉が進まず、さらに時間を要することもあります。
では、どのような原因があると示談交渉が進まないのでしょうか。ここでは、弁護士の示談交渉が進まない原因と改善策を解説します。
1.交通事故の示談交渉が進まない原因
弁護士の示談交渉が進まない原因は大きく3つあります。
- 加害者が任意保険に加入していない
- 保険会社との交渉がうまくいかない
- 弁護士の実力が不足している
交通事故の示談交渉は、有利な条件で示談を成立するための情報収集や、交渉に必要な資料の用意に時間がかかります。交通事故の示談が成立するまでの期間は、物損事故だと3か月程度、人身事故の場合だと程度によっては1年程度が目安です。
ただし、示談交渉を妨げる原因があると、示談成立までに時間がかかってしまうおそれがあります。
(1)加害者が任意保険に加入していない
交通事故の加害者が、任意保険に加入していない場合は、示談交渉が進まず時間がかかることがあります。自賠責保険の上限を越える示談金は、加害者本人に請求するため、金額や支払い方法を交渉するための時間が必要になるからです。
加害者が任意保険に加入していれば、保険会社の担当者と示談交渉ができるため、円滑に交渉を進めることができます。しかし、加害者本人と示談交渉をする場合、連絡がつかないことや、経済的な事情から交渉に応じないことがあるため、示談の成立までに時間がかかってしまうことがあります。
■加害者が自賠責保険に未加入だった場合はさらに時間がかかる
自賠責保険は、法律により加入が義務になっていますが、期限切れなどにより加害者が自賠責保険に加入していない場合があります。自賠責保険に加入していない場合は、示談金を加害者に直接請求しますが、交渉が成立しない場合は、裁判を申し立てて損害賠償請求をするか、経済政府保障事業を利用します。
裁判や経済政府保障事業を利用することで、示談が成立する可能性が高くなりますが、手続きなどに時間がかかることがあります。
(2)保険会社との交渉がうまくいかない
保険会社は営利を目的とした企業なので、示談交渉では示談金をなるべく抑えようとしてきます。そのため、被害者側の弁護士と、加害者側の保険会社との交渉がまとまらず、示談成立までに時間がかかることがあります。
保険会社の担当者は、交通事故による示談交渉を何度も経験してきているプロです。示談金を少しでも抑えるために交渉では妥協をしてきません。そのような相手と交渉し、少しでも多くの示談金を勝ち取るには、入念な準備が必要になるため、示談を成立させるまでにどうしても時間がかかってしまいます。
(3)弁護士の実力が不足している
交通事故の示談交渉に関する知識や経験が不足している弁護士に依頼をした場合、示談成立までに時間がかかることがあります。弁護士には、それぞれ得意な分野があるため、得意分野以外の案件については、調べながらでなければ進められないことがあるからです。
また、交通事故の示談交渉には、法律の知識だけでなく、損害保険や医学的な知識も必要になります。そのため、交通事故の示談交渉を多く経験している弁護士と比べて、示談成立までのスピードが遅くなります。
2.示談交渉が進まないときの改善策
示談交渉が進まないときの改善策は、現状を知らないことには立てられません。そのため、まずは、依頼中の弁護士に示談交渉の進捗を確認してみましょう。
示談交渉を依頼された弁護士は、依頼人にとって少しでも良い条件で示談を成立させようとして、資料の準備や加害者側と交渉を重ねている場合がほとんどです。しかし、弁護士は多くの案件を抱えているので、進展がない間は依頼人に連絡しない場合も多いため、前回の連絡や相談から時間が経ってしまうこともあります。
そのため、弁護士に進捗状況を確認して、示談成立までの現在地が分かれば、安心して任せられると思います。
ただし、進捗状況を確認しても、明らかに示談成立に向けて進んでいなければ改善策を立てていきましょう。
(1)示談交渉を依頼する弁護士を変更する
示談交渉が進んでいない場合は、依頼している弁護士の変更を検討しましょう。弁護士を変更することで、示談成立に向けて加害者側との交渉が進む可能性があるからです。
弁護士を変更する場合は、交通事故の示談交渉の実績を多く持つ弁護士を選びましょう。交渉をまとめる能力が高いので、示談成立までの時間が早くなるだけでなく、受け取れる示談金が多くなる可能性もあります。
ただし、弁護士を変更するときのタイミングには注意しましょう。
新しい弁護士が決まる前に、依頼中の弁護士の委任を解除してしまうと、弁護士の居ない期間が発生するため、加害者側との交渉は自分で行うことになります。
なお、弁護士を変更したときには、今までの情報が新しく依頼した弁護士に引き継がれるため、一から説明する必要はありません。
弁護士の選び方については「交通事故の示談交渉を依頼する弁護士の選び方」のコラムをご参考ください。
■解任までの費用は請求される可能性が高い
交通事故の示談交渉を依頼する弁護士を変更すると、変更前に依頼していた弁護士から、解任までの弁護士費用を請求されることがあります。
請求される費用は、弁護士によって異なりますが、すぐに支払いができない場合は、分割払いができるかを相談してみましょう。
3.交通事故の示談には時効がある
交通事故の示談金を請求できる権利である「損害賠償請求権」は時効があるため、一定期間が経過すると権利がなくなります。損害賠償請求権の時効は、被害者の状況によって異なります。
事故の状況 | 消滅時効の期間 |
---|---|
物損事故 | 交通事故が起きた日の翌日から3年 |
人身事故 (傷害) |
|
人身事故 (後遺障害) |
医師から症状固定を受けた日の翌日から3年間 ※令和2年4月1日以降の事故では5年です。 |
人身事故 (死亡) |
被害者が死亡した日の翌日から3年間 ※令和2年4月1日以降の事故では5年です。 |
時効が完成すると、示談金の請求は一切できなくなってしまいます。そのため、弁護士に示談交渉を依頼しても示談成立までの進捗が見られない場合は、弁護士を変更するなど早めの対策を行いましょう。
4.交通事故の示談交渉は実績のある弁護士に依頼する
交通事故の示談交渉を時効が完成するまでに適正な条件で成立させるには、知識と実績のある弁護士に依頼することが大切です。そのためには、多くの法律事務所で実施されている無料相談を活用してみましょう。
無料相談を利用すれば、費用をかけずに複数の弁護士と相談できるので、依頼したい弁護士を探しやすくなります。
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