公開日:2023.07.11 | 最終更新日:2024.09.24
離婚の話し合いにおける弁護士の役割と依頼する際の注意点
夫婦の話し合いだけで離婚を成立させる協議離婚は、日本で最も一般的な離婚方法です。
しかし、中には「配偶者が話し合いに応じない」「離婚条件の折り合いがつかない」といった理由から離婚の同意が得られず、協議離婚ができないケースも存在します。
夫婦で何度話し合っても協議離婚の成立が難しい場合、弁護士を立てて解決するという方法があります。弁護士を立てた経験が無い人は、依頼する方法や具体的に何をしてくれるのかわからず不安な部分もあるかと思いますので、具体的な取り組みについて解説していきます。
1.協議離婚の成立に向けて弁護士が行うこと
弁護士に協議離婚の進行を依頼するには、最初に委任契約を結ぶ必要があります。委任契約とは、問題の解決を弁護士に任せることができる契約です。契約を結ぶと、弁護士は依頼人の代理人として行動できるようになります。
協議離婚の進行について弁護士と委任契約を結んだ場合、離婚成立に向けて主に下記の取り組みを行います。
- 配偶者との交渉
- 離婚調停のサポート
夫婦だけで離婚の話し合いを進めると、すぐに言い合いになり、成立までに時間がかかるケースも少なくありません。しかし弁護士に依頼することで、協議離婚を有利な条件で円滑に成立できる可能性があります。それぞれの取り組みについて詳しく確認していきましょう。
(1)配偶者との交渉
弁護士は協議離婚の依頼を受けると、依頼者の代理人として配偶者との離婚成立に向けた交渉を行います。交渉は基本的に弁護士と配偶者との間で行われるため、依頼人が話し合いに参加する必要はありません。
そのため、配偶者と別居している場合は、交渉を弁護士に一任すれば、顔を合わせずに協議離婚を成立させることができます。
また、弁護士に依頼すると、離婚に関する全ての連絡は弁護士を通じて行うことになります。同居中は配偶者と一切顔を合わせずに生活するのは難しいですが、弁護士に依頼すれば自宅内で離婚の話ができなくなるためストレスを減らせるでしょう。
仮に、配偶者がルールを無視して離婚の話をしてきた場合は、法的な手続きをとることができます。その場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。
■離婚条件を有利に進められる
弁護士は、離婚条件の取り決めについても配偶者と交渉を行います。離婚条件には、子どもの親権や養育費、財産分与、年金分割などがあります。
離婚条件を夫婦間の話し合いで決めようとすると、お互いが有利な条件で進めようとするため、折り合いがつかず平行線になることもめずらしくありません。また、配偶者の暴言や暴力が原因で対等な立場での交渉ができず、不利な条件で離婚を成立させられることもあります。
離婚条件は一度決まってしまうと覆すことが難しく、曖昧なまま進めてしまうと離婚した後の生活に影響を及ぼすおそれがあります。
しかし、弁護士が交渉をすることで、依頼者の利益を最大限に考慮しながら交渉を進めてくれるため、有利な条件で離婚を成立できる可能性が高くなります。
■離婚協議書を作成してもらえる
配偶者との交渉によって取り決めた離婚条件は、弁護士が離婚協議書を作成して残しておきます。夫婦のどちらかが記載されている条件を守らなかった場合、離婚協議書があれば、裁判所を通じて請求することができるため、重要な書類です。
離婚協議書に決められた書式はありません。しかし、記載内容に不足があると有効な証拠にならず、請求ができないおそれがあるため、法的な知識を有する弁護士が作成したものであれば安全です。
(2)離婚調停のサポート
弁護士と配偶者がいくら交渉を重ねても離婚の同意を得られない場合は、家庭裁判所に対して調停を申し立てて離婚を成立させることになります。離婚調停とは、家庭裁判所が選任した調停委員が夫婦の間に入り、それぞれと話をして同意を得る手続きです。
調停の際には、夫婦がお互いに顔を合わせる必要はありませんが、本人の参加が原則になり、調停員に自身の主張を説明する必要があります。弁護士に依頼すれば代理人として調停委員との対話を行ってもらえるため、有利な条件で進められる可能性が高くなります。
2.弁護士にすぐに依頼すべきケース
配偶者が次のような場合には、夫婦でいくら話し合いをしても離婚の成立が難しい場合があるため、早めに弁護士に依頼したほうがよいでしょう。
- 暴言や暴力で押さえつけようとする
- モラハラを受けている
- 話し合いに応じない
(1)暴言や暴力で押さえつけようとする
離婚の話し合いをすると、配偶者から暴言や暴力を受けるリスクがある場合は、なるべく早く弁護士に依頼をしましょう。
配偶者の暴言や暴力が日常的になっている場合、勇気を出して離婚を切り出しても、逆上して話し合いができないばかりか、より深刻な被害が発生するおそれがあるためです。
また、離婚に同意をしても、暴力や暴言によって断れない状況に追い込まれた後に、「財産分与の放棄」や「子どもの親権を諦める」といった不利な条件を強要されるかもしれません。
このような状況で離婚が成立しても、金銭的な問題や配偶者からの干渉を気にしながら不安定な生活を送ることも考えられます。
弁護士が代理人になることで、配偶者と直接顔を合わせなくても離婚に向けた話し合いができるようになります。配偶者の顔色をうかがう必要がないため、安心して離婚条件の交渉ができるでしょう。
また、DVに対する慰謝料の請求や、離婚した後に起こるトラブルにも対応できるように対策をするため、安全に過ごすことができます。
(2)モラハラを受けている
配偶者からのモラハラ被害にあっている場合もすぐに弁護士に依頼をしたほうがよいでしょう。モラハラを日常的に受けている場合、配偶者から「自分が悪い」と思い込まされていて、離婚の話を切り出してもうまく言いくるめられてしまうおそれがあるためです。
離婚の話し合いでは、弁護士に立ち会ってもらうことで、話の脱線を防ぎながら交渉を進めることができます。これにより、円滑に離婚が成立する可能性が高まります。
(3)話し合いに応じない
離婚の話し合いをしようと思っても、話し合いを拒否したり、「離婚はしない」の一点張りだったりして平行線な場合は、いくら時間をかけても離婚を成立させるのは難しいです。
協議離婚の成立が難しい場合は、離婚調停を申し立てる必要があります。離婚調停は、個人でも申し立ては可能ですが、調停委員に主張を説明する自信がない場合は、弁護士に依頼をすることで代わりに伝えてもらえます。
3.弁護士に依頼するときに気を付けること
夫婦の話し合いだけで協議離婚の成立が難しい場合、弁護士に依頼するのは有効な手段ですが、一方で注意すべき点もあります。希望の条件で離婚の成立ができるように確認しておきましょう。
(1)離婚案件を得意とする弁護士に依頼をする
協議離婚の進行で弁護士を立てる場合は、必ず離婚案件に強い弁護士に依頼をしましょう。弁護士と一口に言っても得意とする分野は異なります。
どの弁護士も離婚案件に対応できないことはないのですが、配偶者が離婚案件を得意とする弁護士に依頼した場合、経験や知識に差があると交渉で不利になることがあります。
離婚案件に強いかどうかは、Webサイトでも確認することもできますが、相談をしたときに的確なアドバイスをもらえるかどうかでも判断できます。多くの弁護士事務所では無料相談を実施しているため、なるべく複数の弁護士に話をしてから依頼する弁護士を決めたほうがよいでしょう。
(2)なるべく早い段階で依頼をする
離婚を有利に進めるためには時間をかけて入念に準備を進める必要があります。間違った準備をしてしまうと、離婚の成立までに時間がかかる場合や有利な条件で進められないことがあります。
たとえば、離婚の原因が配偶者の不倫だった場合、不貞行為を証明できる明確な証拠が揃っていれば、離婚の同意や慰謝料の請求をしやすくなります。しかし、証拠だと思って集めていたものが有効ではないものだと再度集めなおさなければいけません。さらに、証拠を集めていたことが配偶者に知られてしまうと、証拠を隠されてしまうこともあります。
弁護士に相談をすれば、離婚成立に向けた適切な準備を進められるため、早いタイミングで相談するようにしましょう。
4.協議離婚に悩んだら弁護士の無料相談を利用してみる
夫婦だけで話し合いをしても離婚の成立が難しいと感じたらなるべく早く弁護士に相談をしましょう。離婚をするには、財産分与や子どもの親権、養育費など決めなければいけないことが多いです。一度決定してしまうとあとから覆すことが難しくなるため、離婚したあとの生活を安定させるためにもしっかりと話し合う必要があります。
しかし、配偶者の暴力や暴言、モラハラなどで離婚条件どころか、離婚を切り出すこともできないという場合もあるかと思います。弁護士に依頼をすれば、代理人として配偶者と交渉を行うため、希望する条件で離婚が成立する可能性が高くなります。
いきなり弁護士に依頼するのは不安という人は、まずは無料相談を利用してみましょう。多くの法律事務所では無料相談を行っているため、費用をかけずに法的なアドバイスを受けられます。
弁護士法人新小岩法律事務所では、予約により平日20:00開始の無料相談も行っております。当事務所は新小岩駅南口徒歩1分の場所にありますので、小岩、新小岩、平井、亀戸、錦糸町など、総武線沿線の地域にお住まいの方は、仕事帰りにぜひご活用ください。当事務所では、上記の地域だけでなく市川、船橋や松戸の方からもご相談をいただいております。
また、土日の相談にも対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。