公開日:2023.10.07 | 最終更新日:2024.09.24
妻が別れてくれない……。離婚を円滑に進めるためにすべきことを解説
離婚は、夫婦がお互いに同意することで成立します。夫がいくら妻と別れたくても、妻にその気がなければ、同意を得るために何度も話し合いをする必要があるでしょう。
だからといって「離婚を強要する」「一方的に別居をする」などの行為を行ってしまえば、かえって離婚を長引かせる原因になりかねません。
では、離婚する気のない妻と別れるにはどのような方法があるのでしょうか。
1.妻が別れてくれないときにするべきこと
妻と別れたくても離婚に応じてくれない場合、下記の内容を確認してみましょう。
- 離婚の意思が本気であることを伝える
- 妻が離婚に同意しない理由を確認する
- 妻が提示する離婚条件に歩み寄る
- 弁護士に依頼をする
妻と別れたいという気持ちが強くなると「離婚する」という一点に集中しがちです。しかし、離婚は成立すれば終わりではなく、そのあとの生活のことも考えなければいけません。
とくに妻が専業主婦やパートで働いている場合、離婚後の生活が困窮するおそれがあります。妻との離婚を円滑に進めるには、離婚したあとに妻がきちんと生活をおくれるように配慮することも大切です。
(1)離婚の意思が本気であることを伝える
妻に離婚の話を切り出すときは、とても緊張をするものです。話し合いをしている間も、沈黙の時間が続いたり、どちらか一方が感情的になったりと、重苦しい雰囲気になるでしょう。
しかし、それを避けるために、あえて明るい態度や必要以上の笑顔で接すること、場を和ますような冗談を交えて話し合いをするのはおすすめしません。
はじめは真剣に話を聞いていた妻も、夫の話し方や態度から離婚に本気ではないと思われてしまいます。それだけでなく、離婚の話を何度も切り出されると、次第に話を聞いてもらえなくなることも考えられます。
離婚は夫婦の人生に大きな影響を与えるため、重苦しい雰囲気になることはやむを得ないことです。妻に離婚を切り出すときは、そのことを覚悟して、本気で別れる意思があることを理解してもらうことが重要です。
なお、子どもがいて話に集中できない場合は、子どもを預けるか、夫婦だけで話ができる場所を用意することも検討しましょう。
(2)妻が離婚に同意しない理由を確認する
妻と話し合いをしても「離婚はしない」の一点張りで先に進まないときは、その理由を再度確認してみることも大切です。妻は離婚したあとの生活がイメージできず、漠然とした不安から別れたくないと言っているケースがあります。
離婚の意思を一方的に伝えるのではなく、妻が離婚をしたくない理由を明確にして、それに対する解決策を示す努力も必要です。
以下は、妻が離婚後の生活で不安を感じる代表的な理由です。
- 子どもへの影響
- 離婚したあとの生活資金
- 子育て
- 住まい
- 仕事
- 生活環境の変化
たとえば、妻が生活資金に不安を感じているのであれば、養育費や財産分与をすることだけでなく、金額を明確にして伝えることが大切です。また、子育ての不安であれば、離婚したあと、子どもにどう関わっていくかなど、具体的な案をだすこともひとつの方法です。
妻が抱えている不安をいくら減らしたとしてもゼロにすることはできません。しかし、離婚しても生活ができることがイメージできれば、離婚成立に向かって話し合いが前進する可能性が高くなります。
そのため、離婚の話し合いをするときは、妻からの質問や疑問、抱えている不安に答えられるように準備を整えておきましょう。
(3)妻が提示する離婚条件に歩み寄る
妻側から離婚条件を提示されている場合、歩み寄る姿勢も大切です。
離婚理由が妻の不倫や暴力行為であれば、有責行為に該当するため夫側は離婚条件の交渉を有利に進められます。
しかし、性格の不一致などの明確な原因がない離婚理由で、さらに夫側が離婚を望んでいる場合、夫は妻に離婚をお願いするかたちになります。そのうえで夫から離婚条件を主張されても、妻が納得する可能性は低いでしょう。
離婚条件は、最終的に夫婦がお互いに納得すれば確定します。離婚後の生活に困窮するような極端な条件を提示された場合は、交渉を進める必要がありますが、妻の提示する条件に歩み寄った内容であれば、理解を得られやすくなるでしょう。
(4)弁護士に依頼をする
「妻から無視をされていてそもそも話ができない」「感情的になり話し合いにならない」という場合は、弁護士に依頼して離婚を成立させましょう。
弁護士に依頼するのは最終的な手段と思われている人もいらっしゃいますが、実際はなるべく早い段階で依頼したほうが、円満に離婚できる確率が高くなります。
弁護士に依頼をすると、弁護士は問題解決のために依頼人に対して、状況確認や要望などのヒアリングを行います。その際、頭のなかで考えていたことを口頭で説明すると、頭のなかが整理され、やるべきことが明確になります。さらに、弁護士から法的なアドバイスを受けることで、必要な準備を効率よく進められます。
夫婦だけだと、感情をぶつけ合うだけの話し合いになり、回数を重ねるごとに関係が悪化するおそれがあります。子どもがいる場合、両親の言い合いを頻繁に聞かされることで、悪い影響を与えてしまうケースがあります。
弁護士が夫婦の間に入ることで、建設的な話し合いができるため、離婚成立を円滑に進められるのです。いきなり弁護士に依頼するのが不安な人は、まずは相談から始めてみましょう。
多くの弁護士事務所では、無料相談を実施しています。時間は限られていますが、考えていることを口に出すことで考えが整理され、今後の方向性を決めやすくなります。
■弁護士が代わりに交渉をしてくれる
「妻と顔を合わせて話ができない」「妻にいつも言いくるめられてしまう」という場合は、弁護士が依頼者の代理人となって妻と交渉を進めることもできます。
事前に離婚条件を伝えておけば、弁護士と妻で話を進めるため、夫は話し合いの場に参加する必要がありません。同じ家に住んでいる場合は、生活するうえで妻と顔を合わせなければいけませんが、離婚に関する話をされても、回答は全て弁護士を通じて行うことができます。
妻との話し合いが難しいと感じる人は、弁護士に依頼することを検討してみましょう。
2.話し合いで解決しないときは調停を行う
離婚の同意や離婚条件について、妻と話し合いをしても折り合いがつかないときは、離婚調停で離婚をする方法があります。
離婚調停は、家庭裁判所を通じて夫婦が話し合い離婚を成立させることをいいます。家庭裁判所から選任された調停委員が夫婦の間に入り、双方の主張を確認して問題の解決に向けて調整を行います。
(1)妻と顔を合さずに話し合いができる
家庭裁判所のなかでは、夫婦がそれぞれ別の部屋で待機しているため、お互いに顔を合わせることがありません。また、裁判官や調停委員を介して話し合いが行われることから、夫婦だけで話し合いをするよりも円滑に離婚が成立する可能性があります。
(2)離婚調停の早期解決には準備が必要
家庭裁判所を通しているとはいえ、離婚調停はあくまで当事者の話し合いでの解決を目指すものです。調停委員は、そのための解決策の提示やアドバイスを行うサポート役です。当事者の代わりに相手に離婚を迫ったり、条件を押し付けたりすることはありません。
そのため、離婚調停をしても妻が離婚に同意しなければ、調停は不成立でおわってしまいます。離婚調停に回数の制限はないため離婚が成立するまで何度も行うことができますが、平日に行われるため、時間的な負担も大きくなるでしょう。
早期解決を目指すのであれば、調停委員に説明する資料を準備する、弁護士を立てるなどの対策が必要です。
3.離婚理由によっては離婚裁判で離婚ができる
離婚調停を何度行っても結論が変わらず不成立で終わってしまうときは、離婚裁判で離婚を成立させる方法があります。離婚裁判は、裁判官が夫婦の主張や提出された証拠を判断して強制的に離婚を成立させる手続きです。
裁判所の判決によって離婚が認められた場合、強制的に離婚が成立します。
ただし、離婚裁判をするには、離婚原因が法律で定められている内容でなければいけません。これを法定離婚事由といい、下記の内容が該当します。
離婚原因 | 具体例 |
---|---|
不貞行為 | 配偶者以外の異性と肉体関係を持った |
悪意の遺棄 |
正当な理由がないのに別居をしている 生活費を渡さない |
3年以上の生死不明 | 配偶者と連絡が取れず、生死が不明の状態が3年以上続いている |
回復の見込みのない強度の精神病 |
配偶者が回復する見込みのない強度の精神病にかかり、 夫婦として共同生活を続けていくことが困難な状態 |
婚姻の継続が難しい重大な事由 |
精神的や肉体的なDV 性の不一致 長期間の別居など |
離婚裁判は、最初に家庭裁判所に訴状を提出しますが、その際、法定離婚事由に該当していないと判断されると訴えそのものが認められない場合があります。そのため、法定離婚事由が証明できる証拠などの準備が必要です。
離婚裁判については下記のコラム記事を参考にしてください。
関連記事:離婚裁判にはどれくらいの期間が必要になるのか?
4.妻と別れるなら早めに弁護士に相談を
妻と別れたいと思っても、妻側に離婚する意思がない場合、同意を得るには予想以上の時間がかかることが考えられます。また、話し合いを重ねるたびに言い合いになり、お互いの関係が悪化することで日常生活に支障がでるおそれもあります。
離婚をするときは、そういった事態が起きることも覚悟しておく必要がありますが、負担を少しでも減らすには、弁護士に依頼することも検討してみましょう。
早い段階で弁護士に依頼をすれば、離婚の成立を円滑に進められるため、精神的な負担を減らすことができるでしょう。
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