公開日:2026.05.01

【2026年4月1日施行】共同親権の導入で離婚後の生活はどう変わるのか

2026年4月1日、民法等の一部を改正する法律が施行されました。

今回の法改正では、親の責務に関するルールの明確化をはじめ、親権・養育費・親子交流など、離婚後の子どもに関わる制度全体の見直しが行われます。

その中でも、特に注目されているのが「共同親権」です。

共同親権は、夫婦が離婚した後も、子どもの親権を父母の双方が持ち続けることを認める制度です。導入後は、離婚後も進学や医療など、子どもの将来に関わる重要な判断に父母がそれぞれの立場から関与できるようになります。

ただし、共同親権には、判断をめぐる話し合いが必要になる点や、離婚後も一定の協力関係が求められる点などの注意点もあります。

後悔のない選択をするためにも、共同親権の制度の内容と注意点を確認しておきましょう。

離婚時の共同親権とはどのような制度なのか

これまで日本では、離婚後は父母のいずれか一方のみが親権を持つ「単独親権」が原則とされてきました。

単独親権では、子どもの監護や将来に関わる決定を、原則として一方の親が担うことになります。そのため、親権を持たない親は、子どもの将来に関わる重要な判断に関わりにくく、離婚後の子育てへの参加が制限される側面がありました。

結果として、子育てに関する情報が親同士で共有されにくくなり、子どもにとって安定した育ちの環境を保ちにくいという課題が指摘されてきました。

一方、共同親権では、離婚後も父母の双方が親権を持ち、子どもの将来に大きな影響を与える重要な事項について、責任を分かち合いながら関与することが前提とされます。

これにより、離婚後も父母双方が子育てに関わり続けることが制度上認められ、子どもにとっても継続性のある養育環境を保ちやすくなることが期待されています。

「共同親権」と「単独親権」は選択ができる

法改正後は、離婚時に必ず共同親権を選ばなければならないわけではありません。

父母は、離婚にあたっての話し合い(協議)により、「単独親権」と「共同親権」のいずれかを選択できます。協議がまとまらない場合には、家庭裁判所の調停や審判によって判断されることになります。

この場合も、親の希望だけでなく、子どもの利益(子の利益)を最優先に考慮して、単独親権とするか共同親権とするかが判断されます。

DV・虐待の疑いがあれば例外的に単独親権となる

共同親権において、父母の協議がまとまらない場合や裁判離婚となった場合には、家庭裁判所が「子どもの利益」を最優先に親権のあり方を判断します。

その判断の過程で、子どもに対するDV・虐待のおそれがある場合や、父母が共同して親権を行うことが困難と認められるときは、例外的に単独親権を定めることになります。

虐待・DVは、身体的な暴力に限られず、精神的な支配や威圧的な言動なども含めて判断されます。

また、共同親権とすることで子どもの利益が害されると認められる場合にも、単独親権が選択される場合があります。

単独親権から共同親権への変更も可能

法改正後は、離婚時に単独親権を選択した場合であっても、その後の状況の変化に応じて、共同親権へ変更することが可能とされています。

具体的には、離婚後に父母の関係が改善し、子どもの養育について協力できる状況になった場合などが考えられます。

このような場合には、家庭裁判所へ申し立てを行うことで、親権者の変更が認められる可能性があります。

もっとも、DVや虐待のおそれがある場合や、父母が共同して親権を行うことが困難と認められる場合には、共同親権への変更は認められません。

あくまで、子どもが安心して成長できる環境を確保できるかどうかが、判断の前提となります。

共同親権が離婚後の生活に与える影響

共同親権と聞くと、離婚後の生活に元配偶者が大きく関わってくるのではないかと、不安に感じる人もいるかもしれません。

確かに、共同親権を選択することで、単独親権の場合に比べて、子どもの将来に関わる場面で元配偶者が関与する機会は増えます。ただし、共同親権は何でも常に共同で決めなければならない制度ではありません。

離婚時に、どのような事項をどのように話し合うのか、役割分担や連絡方法などをあらかじめ取り決めておくことで、離婚後の生活への影響を必要以上に大きくしないことも可能です。

子どもの将来に影響する判断を両親で担う

そもそも親権とは、未成年の子どもを守り、育てていくために、親に与えられている責任や権限のことです。

主に以下のような将来に関わる重要な内容について、判断する権限が含まれます。

  • こどもの転居
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理

参考:親権・養育費・親子交流などに関する民法等改正の解説|法務省

単独親権では、こうした重要な判断について、原則として親権を持つ一方の親が単独で行ってきました。そのため、意思決定のスピードは早くなりますが、親権を持たない親が、子どもの将来に関する判断に関与しにくい側面もあります。

しかし、共同親権では、子どもの将来に大きな影響を与える重要な事項について、父母の双方が責任を持って関与することが前提とされます。

このように、共同親権を選択することで、離婚後も父母の双方が子どもの将来に関わり続けることができます。

監護の分掌により子育てを両親で分担できる

共同親権に合わせて導入されるのが「監護の分掌」という考え方です。

監護の分掌は、子どもと実際に暮らし、日常の世話を行う権利である監護権を、父母のどちらか一方にすべてを任せるのではなく、期間や内容ごとに役割を分けて共同で担う仕組みを指します。

監護権は主に、以下のような内容が該当します。

  • 食事や服装の決定
  • 短期間の観光目的での旅行
  • 心身に重大な影響を与えない医療行為の決定
  • 通常のワクチンの接種
  • 習い事
  • 高校生の放課後のアルバイトの許可

参考:親権・養育費・親子交流などに関する民法等改正の解説|法務省

監護の分掌は、日常のすべての判断や対応を父母が常に共同で行うことを意味するものではありません。例えば、「生活面を中心に担う」「教育や習い事への関与を担う」といったように、ある程度抽象的な役割分担を決めておくことが想定されています。

このように、監護の分掌を取り入れることで、日常の子育てに関する負担を一方の親に集中させず、父母で分け合うことができます。

また、両親がそれぞれの形で子育てに関与し続けられることで、子どもにとっても安心感のある環境を保ちやすくなります。

なお、日常的な子育てへの関与をできるだけ限定したい場合には、共同親権を選択しても、監護権を一方の親に定めることができます。

共同親権でも面会の回数や養育費に大きな影響は出にくい

子どもとの面会は、共同親権を選択したからといって、回数が自動的に増えるものではありません。

面会の頻度や方法は、「子どもの利益にかなっているか」を基準に判断されるためです。共同親権になったことだけを理由に、頻繁な面会が認められる可能性は低くなります。

同様に、養育費についても、共同親権を理由に支払い義務がなくなったり、金額が大きく変わったりするわけではありません。

ただし、共同親権はまだ新しい制度であり、その内容や考え方が十分に浸透しているとは言えません。

そのため、「共同親権なのだから面会を増やすべきだ」「共同親権なのだから養育費は減らせるはずだ」といった要求をされる可能性もあります。不安を感じた場合には、必要に応じて弁護士などの専門家への相談も視野に入れておくと安心です。

共同親権をめぐる注意点と現実的な課題

共同親権は、制度の仕組みを十分に理解しないまま選択すると、離婚後の生活や意思決定の場面で負担や戸惑いが生じる可能性もあります。

ここでは、共同親権を選択する際に知っておきたい注意点と、想定される課題について整理していきます。

重要な判断では話し合いや調整が避けられない

共同親権では、子どもの将来に大きな影響を与える判断について、父母の双方が関与することが前提です。

そのため、重要な場面で意見が分かれた場合には、話し合いや調整が必要になり、合意に至るまでに一定の時間がかかることもあります。

共同親権への合意が難航するケースがある

共同親権は、父母双方の合意を前提とする制度であるため、希望すれば必ず選択できるわけではありません。夫婦の一方が共同親権を望んでいても、もう一方が単独親権を主張し、協議がまとまらないケースも想定されます。

特に、離婚時に強い対立があった場合や、子育て方針・生活環境に大きな違いがある場合には、話し合いが長期化することもあります。

共同親権や離婚後の親権問題は弁護士法人HALにご相談ください

共同親権は、離婚後も父母双方が子どもに関わり続けられる制度である一方、親権の選択や取り決めの内容によっては、将来のトラブルにつながるおそれもあります。

とくに、親権の選択、養育費や親子交流との関係、将来的な親権変更の可能性などは、制度を正しく理解したうえで進めることが重要です。

感情的な対立がある中で当事者同士だけで判断すると、後から後悔してしまうこともあります。

弁護士法人HALでは、共同親権を含む離婚問題について、状況に応じた適切なアドバイスを行っています。親権をどのように定めるべきか、話し合いが難しい場合にどのような手続きが考えられるかなど、具体的な事情を踏まえてサポートいたします。

土日を含む午前9時から午後8時まで、電話で無料相談のご予約が可能です。平日夜間の相談にも対応しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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